SE・ジャパンを日本で興し、経常利益1000億円企業に育て上げたのはもちろん、すべてを独自に考え出したわけではない。
ISDN網は最初にハードメーカー側の構想があったし、共同開発はすでにいろいろな場面でその萌芽はあった。
SEの凄みは、そうしたことすべてに「なんのために取り組むのか」という目的意識、「どうすべきか」という到達点を見据えた強い意欲が働いていたことだ。
SEは、経営のすべてを「顧客のために」行なっている。
もちろんこれは表面的なきれいごとではない。
顧客に支持されればそれは売り上げのアップにつながり、加盟店のためになり、本部の増収につながり、社員のため、ひいては株を買う投資家のためにもなるということなのだ。
企業が増収を図るためにはまず利用者、顧客を第一に考える。
これこそ究極の「当たり前」であるが、それを実際に口にし、そのとおり愚直なまでに実行するSEの姿勢には「凄み」がある。
これを凄みと感じてしまう日本の資本主義社会のほうが問題なのかもしれないが。
会長のSだ。
そのSの原点は「いかにお客のニーズに遅れないように追求していくか」にある。
「遅れない」とはずいぶん後ろ向きな発言に思えるが、これはつまり、どんな変化にも対応できるような体質をつくりあげろ、ということだ。
簡単なようでむずかしい。
これが実現できれば、最強の小売業が誕生することになる。
9月、経常利益1000億円が射程距離に入ってきていた時期に、Sはある新聞のインタビューに対して「客の好みはものすごい早さで変化している」と語っている。
別年、と猛暑が続き、水着の売れ行きなどが好調だった。
だが、SEでは、猛暑ということでは同じなのに、売れる商品はまったく違ったのだという。
たとえば弁当類を調べてみると、別のカテゴリーに分類したところ、8カテゴリーは前年を上回ったが、3カテゴリーはふるわなかった。
飲食店やスーパーなどの量販店で好調な売れ行きを示したビールでさえ、SEの店頭では7月と合わせると、まったく振るわなかった。
しかしSは「不況だから売れない」という意見は真っ向から否定する。
「売れる商品はすぐなくなってしまうため、客が店に来てもほしい商品がない」。
まさに、顧客のニーズをフォローする体制について、自らの店舗のオペレーションを反省してみせたのだ。
弁当やビールについても「つねに客の好みの変化に合わせて品揃えをしていれば、もっと売れたはずだ」と力説していた。
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